金融機関の貸し付けで第三者保証を禁止する民法改正案を3党共同で参院に提出

<概要>

民主党が5月9日、金融機関による貸付けに際して第三者に保証を求めることを禁止する民法改正案を生活の党、社民党と共同で参院に提出しました。
現状は、中小企業が金融機関から融資を受けるに当たって、経営者本人ではなく、その家族、親族等が借り入れの連帯保証人となり、予期せぬ履行を求められるケースがあり、それにより連帯保証人となった者が過度な負担を強いられ、生活が破たんし自殺等に追い込まれる原因ともなっています。
連帯保証制度によるこのような事態をなくすため、金融機関による貸付けに際して第三者保証を禁止する措置を盛り込んだ民法の早期改正に取り組むべきとの考えで3党が一致し、当法案の提出に至っています。

<影響>
この法案は、貸し出し側の金融機関と、借入側の中小企業の両者の立場で考えてみる必要があります。

まず金融機関側からすると、保全が不十分であることを理由に貸し出しに消極的になる可能性があります。金融機関とてビジネスであり、元本の返済が一定確率以上見込めない限りは貸し付けを行いません。貸し付けている間の金利収入が彼らの利益ですから、貸出先が破綻しては元も子もないためです。第三者保証がとれないのであれば、担保など、別の保全を要求する可能性もあります。あるいは保全を取らない以上は決算書による評価を重視し、場合によっては金利を高くする、期間を短くするなどの形でリスクヘッジをするかもしれません。

次に中小企業からすると、確かに第三者保証が不要となれば、借入の申し込みはしやすくなるでしょう。ただしあくまでも申込がしやすくなるだけです。申し込んだ後の金融機関による審査はこれまでとはかわりません。

この法案がどのような審議で進んでいくのか、継続的に注視をする必要がありそうです。

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