日本IBMへの1200億円課税処分が取り消し判決

「日本IBM」がグループ内で行った自社株の取り引きが、法人税を免れるための不当な行為かどうかが争われた裁判で、東京地方裁判所は、日本IBM側の主張を全面的に認め、およそ1200億円の課税処分を取り消しました。

日本IBMは平成14年から17年にかけて、連結決算の対象となる持ち株会社を経由させる形で、アメリカのIBMが保有していた自社株を取得しましたが、この取り引きで持ち株会社におよそ4000億円の損失が発生したため、グループ全体では利益が出なかったと税務申告していました。
これに対し、東京国税局は持ち株会社はペーパーカンパニーで、一連の取り引きは法人税を免れる目的の不当なものだとして、およそ1200億円を課税したため裁判になっていました。
9日の判決で、東京地方裁判所の八木一洋裁判長は「持ち株会社はグループの組織再編などで一定の役割を果たしているうえ、一連の取り引きも経済的合理性がないとは言えず、税を免れる意図があったとは認められない」などと指摘して、日本IBM側の主張を全面的に認め、およそ1200億円の課税処分を取り消しました。
判決について、日本IBMは「当社の主張が認められたものだ。日本をはじめビジネスを行うすべての国で、引き続き納税義務を果たしていきたい」というコメントを出しました。

国税庁によりますと、今回の判決で取り消された税金の額は、旧住専の破綻処理を巡って当時の日本興業銀行が国を訴えて、平成16年におよそ1500億円の課税が取り消された裁判や、消費者金融大手「武富士」の創業者から長男に贈与された株への課税を巡り、平成23年、1330億円が取り消された裁判に次いで3番目に大きいということです。
判決について東京国税局は「国側の主張が認められなかったのは大変遺憾だ。現在、関係機関と控訴するかどうか検討しており、これ以上のコメントは控えたい」としています。

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