税制大綱が発表される

法人実効税率引下げが柱の税制改正大綱を決定

自民・公明の両党は12月30日、平成27年度与党税制改正大綱を決定した。柱となるのは法人実効税率の引下げ。「平成27年度を初年度とし、以後数年で、20%台まで引き下げる」との目標を明記した。国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、27年度に32.11%(▲2.51%)、28年度に31.33%(▲3.29%)となり、さらに引き続き、28年度以降の税制改正においても、20%台までの引下げを目指す。

今回の改正では、「課税ベースの拡大等により財源を確保しつつ、経済の好環境の実現を力強く後押しするため」として法人減税を先行させる。財源確保は2段階で進め、平成27年度は、1)欠損金繰越控除の見直し、2)受取配当等益金不算入の見直し、3)法人事業税の外形標準課税の拡大、などを行うが、中小企業に配慮し、大企業中心に実施する。28年度は、さらに課税ベースを拡大し、税率引下げ幅の更なる上乗せを図る。

一方、足元の住宅市場活性化対策及び消費税率10%への引上げに伴う駆込み・反動減対策の観点から、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を延長した上で、非課税枠を現行の1000万円から最大3000万円に拡大する。また、NISAについて、年間投資上限額80万円で20歳未満の口座開設を可能にするジュニアNISAを創設するとともに、NISAの年間投資上限額を100万円から120万円に引き上げる。

消費税率については、引上げ時期を平成29年4月とし、景気判断条項を削除することを明記した。引上げ時期の変更に伴い、住宅ローン減税等の適用期限を31年6月30日まで1年半延長する。消費税率10%時の自動車取得税廃止等は、28年度以降の税制改正で結論を得る。軽減税率制度については、税率10%時に導入するとし、29年度からの導入を目指して、対象品目、経理区分、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める。

そのほか、1)祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置を創設(非課税枠:1000万円)、2)国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引を消費税の課税対象とする、3)クロスボーダーでの課税逃れを防止する観点から、巨額の含み益(未実現のキャピタルゲイン)を有する株式等を保有して出国する者に対する譲渡所得課税の特例の創設、などがある。

さらに、車体課税については、1)エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、燃費基準の円滑な移行や足元の自動車消費の喚起の観点から、2年間の経過的な措置として、減免税車の対象範囲を見直す、2)軽自動車税について、一定の環境性能を有する四輪車等について、燃費性能に応じた軽課を導入、3)二輪車等の税率引上げの適用開始を1年間延期し、平成28年度分からとする、などの見直しが盛り込まれている。

外形標準課税を拡大へ

地方税関係では、まず法人実効税率の引下げに伴う法人事業税の外形標準課税拡充の見直しが挙げられる。課税ベース拡大を前提に減税を先行させ、分割基準や資本割のあり方を見直し、これまで大法人対象だった課税範囲の拡大が図られることになった。

個人住民税を出身地や応援したい自治体に寄附のかたちで振り向けることができる「ふるさと納税」も拡充される。控除額の上限を引き上げるとともに、確定申告が不要な「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設。企業の本社が東京圏から地方に移転した場合に法人税が減額される制度も創設したことで地方創生に弾みをつけることがねらいだ。

自動車取得税のエコカー減税は自動車重量税とともに燃費基準を見直したうえで継続する。また、軽自自動車税にはグリーン化特例(軽課)が導入されることになり、来年度から予定されていた二輪車等の税率引上げは、適用開始を1年延長し、2016年度分からとすることになった。

その他、固定資産税はデフレ脱却過程にあることを踏まえ、来年度からの3年度間、現在の負担調整措置が継続される。また、認定鳥獣捕獲員の狩猟者認定登録にかかる狩猟税は2015年5月29日以降の登録者について非課税扱いとなり、たばこ税はわかば、エコーなど旧3級品たばこの特例が2016年4月から4ヵ年かけて段階的に廃止されることになった。

 

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