新年のご挨拶(H30年)

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年平成29年は、ビジネス界では、「AI」、ビットコインをはじめとした「仮想通貨」、「働き方改革」といったことがキーワードでした。これらのキーワードはもちろん当社にも大きな意味を持っています。

まずAIに関しては、私たちホワイトカラーの仕事はAIに奪われるだろう、という議論が起こっています。実は既に第四次ブームで、過去にも多くの技術的試みが行われてきています。この第四次ブームでは、「機械学習」という新しい技術が大きな特徴となっており、これによりAIは自ら学習し、その知能を向上させることが可能になりました。そしてそれがいつしか人間をあらゆる面で凌駕するであろうというのが、シンギュラリティといわれるポイントです。
私はこのAIが、近い将来に今の当社の仕事を完全に代替してくれるものと期待しています。きっと3年以内でしょう。これは同業他社においても同様の傾向がありますし、いわゆるサムライ業といわれる業種も完全に代替されるでしょう。私たちはこれを喜ぶべきです。今は人間が行うことによって、ミスやストレスが起こり、時間の無駄が生まれています。これらすべてをAIが行ってくれるのですからこれ以上の喜びはありません。
ではAIに仕事を譲った私たちは何をすればよいのでしょうか。この答えを出すことは、平成30年の課題なのかもしれません。
当社は既に新しいサービスを開発中ですが、それも5年程度たてば不要になると思っています。それくらいスピードの速い変化がすでに訪れており、これを日々体感すべくアンテナを立てなければなりません。

そして仮想通貨に関しては、当社ではむしろその技術基盤であるブロックチェーンに期待しています。ある国ではこの仕組みを用いて、中央銀行が仮想通貨を出そうという試みも検証されています。ブロックチェーンは、中央管理者がいなくてもよい仕組みですから、中央銀行がブロックチェーンを用いて仮想通貨を発行することは矛盾するように聞こえるかもしれません。しかし、管理者の定義が異なりますから、矛盾ではないのです。ブロックチェーンを先取りする中央銀行はその役割を大きく変えるでしょう。
また、中央銀行による仮想通貨が実現すれば、硬貨や紙幣は骨とう品としての価値しか持たなくなります。取引をリアルタイムで捕捉し、税制もそれに合わせて変えていけば、政府のキャッシュフローベースの税収は大きく増えるでしょうし、管轄する税務署や都税事務所はほぼ不要になりますし、もちろん税理士もほぼなくなります。仕事の質も、単純で重複もある作業でミスするためだけにあるような書類作りではなく、クリエイティブになるかもしれません。そうすると、今までとは全く異なる能力を持った人が、これらの職に就くでしょう。
AI以上に、私たちの仕事の在り方を変える可能性があるのが、ブロックチェーンなのです。
ブロックチェーンの仕組みを作った仮想通貨ですが、ICO(Initial Coin Offering)が多く行われました。これは、あらゆる企業にとってICOによる資金(仮想通貨)調達が可能であることを意味しています。企業ごとに仮想通貨を発行し、その価値を市場参加者が決め、よりよいと思われる仮想通貨に交換される。今まで株式市場が担ってきたものを、完全に仮想通貨取引所が代替する可能性があり、既に一部はそうなっているのです。そうなると、莫大な手間とお金をかけて行い、経営者のステータスの一つだった株式上場はもはや時代遅れになるのです。

最後に働き方改革。残業を規制する法案が2018年に新たに通る見込みです。それによれば今までは36協定さえあればいくらでも残業できたのが、単月上限100時間、2か月平均で80時間以内とすることが求められます。
経営者の目線で考えれば、社員をより効果的に働かせることが重要です。したがって、属人性が高い、あるいは労働集約型の産業はその収益性を大きく落とすでしょう。飲食業や介護施設、宿泊施設、営業職員を多数抱える卸売業、スーパーなどの小売業は、働き方改革を背景に大きな構造転換を求められ、これに対応できなければ倒産が待っています。
社員目線で見れば、起業という道が有力になってきます。
経営者も社員も、大きな価値転換を求められてくるのです。

こうした3つのキーワードを見ていくと、会社の経営はその姿を大きく変えていく可能性が見えてきます。
例えば社員採用。これだけの変化の時代、社員採用、つまり雇用契約による関係性は、お互いにとって不幸です。雇われる側の社員が優秀であればあるほどそうでしょう。そして優秀でない(あるいは適性が合わない)人を雇用することは会社にとって損失、雇われる方にとっても時間の浪費でしかありません。
そしてすでに見た資金調達もそうです。従来型の直接金融(株式上場)は、仮想通貨に代替される準備が出来ています。それにより、日本という国の経済的境界線が意味をなさなくなってきます。

このように非常に大きな転換期にあるのが2018年です。もちろん既得権益者はこの転換を止めようとするでしょう。既得権益者は現状維持を最良とし、守ることだけを考えています。表面的には良いことを言っていても、現実的には山のように動かずに、意味のないポジション・トークだけを繰り返すのです。しかし新しい時代の主役は、既得権益者ではないのです。

会社にとって現状維持ほどリスクの高いことはありません。

当社においても大きなパラダイムシフトを実現させ、新しい世界の主役達の力に少しでもなれるよう、日々努力をしなければならないと思っています。

この2018年が、この稚拙な文章を最後まで読んでくださったあなたにとって、そして当社にとっても良い年となることを願うばかりです。